2021年頃から、半導体の不足によって納期遅延となっている新車がいくつかあります。人気車種で半年かかるというならいい方で、14年ぶりにフルモデルチェンジをしたランドクルーザーは、納車4年待ちと言われています。なぜ新型ランドクルーザーはここまで納車時期が延びてしまっているのでしょうか。
もともと日本で販売台数が少ないランドクルーザー
新型ランドクルーザー(ランクル)は、2021年8月2日に日本で発売されました。発売前から予約が殺到し、納車で4年はかかりそうだというトヨタからのアナウンスがありました。
もともと、ランクルのメイン市場は主に中東やロシアなどであり、日本への販売台数は少なめです。ランクルはオフロード走行性能に優れたクルマであるため、未舗装エリアが多い地域や、山岳・砂漠地帯が多い国で人気の高い車種なのです。トヨタ製の日本車ですが、日本市場は大口顧客ではないため、発注が増えているからと言って日本への供給を優先させるとは考えにくいでしょう。舗装された道路や狭い道路が多い日本では小回りが利きにくいので、都内では使いにくい車であるともいえます。
そういう事情があっても、ランクルはラグジュアリー車として名を馳せ、予想を上回るほど日本からの注文が殺到しました。4年といえば、通常の車なら最終モデルが登場してもおかしくない年月ではあります。「待っている間に新型が来るのでは?」という冗談が現実になる可能性もありますが、ランドクルーザーはモデルチェンジの間隔が長いので、気長に待とうと思っている方もいるのでしょう。
ランクルの納車時期が少しだけ早まっている
待望の人気車ランクルですが、販売直後に発注されたランクルの納期が早くなっているようです。ウクライナ情勢の影響でロシアへの輸出が停止されており、その分を割り当てることで、ほんの少しだけ納車が早まっています。早まったといっても、年単位で納車を待つことには変わりはありませんし、これから購入する車の納車時期が早まるわけではありません。今からディーラーに新車を求めても、結局は4年待つことになるでしょう。
ランクルと転売
新型ランクルには転売防止の措置が施されており、購入後は半年~1年間の所有権をディーラーにすることを前提としています。販売から1年は経っていませんが、結果としてこの転売措置はうまくいっておらず、ランクルが中古車で販売されることは珍しくなくなってきました。そもそも、誓約書には法的な拘束力がないので、致し方ないことなのかもしれません。国内での転売は問題になりにくいですが、国外へ輸出する形で転売されてしまうと反社会的な人々の手に渡る可能性もあり、そちらを危惧しているようです。
日本でのランクル価格は安すぎるかなという印象を受けるので、少し値上げをするだけでも転売のうまみはなくなるのではないかなとは思います。